内田樹さんの「下流志向」という本を読みました。

全部を読んだわけではないので主要部分だけですが、
とても勉強になったので、その部分について書きます。

下流志向

音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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■現代人は、自ら下流になることを望んでいる

この本の中で内田さんは「現代の若者は自ら下流に
なることを望んでいる」と書いています。

つまり、「本当は上に行きたいのに行けない」のではなく、
「むしろわざと下に行っている」ということです。
何でそんなことをするのか理由を箇条書きすると、

・責任を取らなくていい
・最小の努力で生活することができる

ということです。

上に行くと責任が重くなるということは言うまでもない
でしょう。2つ目についていうと、。

月収15万で働いている人と、生活保護で月収?13万を
もらっている人を比較するとわかりやすいでしょう。

どう考えても後者の方が合理的です。人間的なプライドとか
他社や社会への思いやりなどを抜きにしたら、全ての人が
後者を選択するのは当然です。

投資やビジネスの成功者の中には「もう寝ているだけでも
月収100万円」という人はいますが、その人がそれまでに
してきたような血の滲むような努力を考えると、決して
労力のコストパフォーマンスは高くないといえます。

しかし、生活保護で生活している人たちはほぼ100点に近い
コストパフォーマンスを手にしているわけです。

つまり彼らの行動は、「世のお金持ちよりずっと合理的」であり、
彼らは潜在意識では「自分は世の人々より上」ということを
感じているのです。

だからこそ今、生活保護が本来不必要な人まで、生活保護の
ことを「ナマポ」と呼び、不正に受給して楽をする、
ということが起きているわけですね

(もちろん、そんなことをする人はごく一部なのですが)。


■私たちは、実は自分の理想通りの人生を生きている

「下流志向」の内容は高度な社会心理学なので、私も完璧に
説明することができないのですが、上のような内容から
学べることがあります。それは「私たちは、実は理想通りの
人生を生きている」ということです。

私が見る限り、お金持ちになりたいといいながら何も努力を
していない人は、実はお金持ちになりたいわけではないのです。
「ぐうたらしたい」のです
(そのためにお金持ちを目指しているわけですが)。

でも、「ぐうたらする」ことがその人の理想ならば、
「今ぐうたらすれば、それがすぐに手に入る」わけですね。

体はそれを知っているので「今ぐうたらする」ということです。
だから、彼らは怠けているように見えて、実は「今この瞬間に
行動を起こしている」というわけです。

実は誰よりも「行動が早い」んですね(笑)。

これは冗談ではなく本当にそうなのです。私たちの体というのは
極めて合理的で、自分が思っているよりもずっとすごいのです。
目的に向かって一直線に動いてくれるのですね。

なので「お金持ちになってぐうたらしたい」と考えているうちは、
ほぼ永遠にお金持ちになることができないわけです。
理由は上に書いた通りです。

一見ビジネスとは全然関係のなさそうな社会心理学の本でも、
自分たちの生活に当てはめてみると、成功法則として転用
できそうな部分が多々あるので、今後もたまに読んでみたいと
思います。