精神力は気持ち次第でどうにかなる、と思っている人が
多いですが、それは大間違いです。そもそも精神力とは
どこから生まれるのか、物理的に説明します。

精神力

音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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■脳→神経回路→体の各部の流れで生まれる

たとえばその精神力が「100km走り続ける力」としましょう。
この場合まず、脳を動かします。脳の中でも動物が
いつも使っている「大脳辺縁系」ではなく「大脳新皮質」
です。人間以外ほとんど使わない「理性を司る部分」です。

脳が運動しているので、血糖値も消費しますし、脳に盛んに
血液を集めるなど、全身の臓器をフル活用しています。
体の運動と違って外からは見えないけど立派に「物理的な
動き」をしているわけです。


■次に、神経回路に行く

続いて大脳新皮質で生まれた「命令」を、神経回路を
通じて全身に運びます。これも「神経の切断」という
言葉でわかるように、電源のケーブルなどとまったく
同じ、物理的な「線」です。

そこで脳内物質を運動させるには、やはり脳の時と
同じように周辺の臓器などをフル活用する必要があります。

神経回路が太く発達している人は、ちょっと指令を出した
だけでも大量に指令を体に届けられるので、頑張りやすい
です。逆に回路が細い人はなかなか指令が届かないので、
がんばりにくいわけです。


■最後に、体の問題がある

そして、最後は体です。この場合は体力も精神力のうち
なんですね。というのは同じ「100km走る」にしても、
体力がある人とない人では、楽さが全然違うからです。

普通の人(私も)は「100kmとか死ぬだろ」と思いますが、
人によっては「まあ、ちょっと頑張れば行けるかな」と
なるわけです(プロでなければ多分無理ですが。笑)

「それは精神力じゃないだろ」と思われるかも
知れませんが、100km走る、という結果は変わらない
わけです。

私たちのゴールは精神力ではなく「その精神力で結果を
出すこと」です。結果がゴールなのです。

ということは、その結果をより出しやすい能力を
持っていたら、少なくともその件に関しては、その人は
最初から「精神力がある程度ある(のと同じ)」状態
なのです。

これが示すのは、「能力をひたすら磨くと、精神力が
なくてもあるのと同じになる」ということです。

そして、その能力によってたとえば100kmを走り、人から
「精神力がすごい」と言われているうちに、精神力も
すごくなります。

実際、動物だったら嫌がるような訓練を毎日しているから
こそ100km走れるようになったわけです。

その訓練で、動物は使わない大脳新皮質をかなり
鍛えているし、神経回路も太くなっているので、
体力以外の要素も強くなっています。

というように、精神力はどんどん物理的に鍛えることが
できるのです。逆にいうと、マラソンと同じで一朝一夕で
急に強くしようと思っても無理なのです。

「いつも決意をするだけで続かない」という人は、
こういうことを意識してみてください。