■アンカリングとは?

単語でいうと「条件づけ」。
わかりやすく言うと「行動のパターン化」です。

たとえば、私のネットビジネスの友人の一人は、
基本的にカフェでしか仕事をしません。
自宅ではしません。

こうすると、彼の体は
「カフェに入る=仕事の時間」と学習するので、
カフェに入った瞬間、自動的に仕事モードになるのです。

アンカリング

「別に家でも仕事モードになればいいじゃん」
と思うかも知れませんし、私も思うのですが、
彼が言うには、それは違うのです。


■部屋では、睡眠モードにならなくてはいけない

この一文で、「ああ」と思った方もいるでしょう。
これは不眠症の治療などでも使われる方法です。

つまり、「寝室は、絶対に寝ること以外に使わない」と決め、
その生活を守っていると、いつしか
「寝室に入っただけで眠くなる」体になるのです。

体が「もうここでできる動作は何もない」
ということを学習するので、
何かをしようという気が起きなくなるのです。

「ここでできることが何もない」とわかった時、
体がそれに合わせるというのは、
有名な「ノミの天井」の実験でもわかります。

ずっと瓶にフタをして、
ノミがジャンプしても出られないようにしておくと、
もうフタを外しても、ノミは外に出ない、
というものですね。

「跳んでもムダ」ということを、
体が学習してしまい、もう跳べなくなるのです。
(悲しい話ですが)

…というように、私たちの体は私たちが思うよりも、
「ずっと学習している」んですね。
脳を経由しないで、「体が覚えている」のです。

…というわけで、友人は家では仕事をしないのです。
サボっているわけではないです。(本人談)


■もともと意思が弱い人などいない

このアンカリングと同じことは、
たとえば2013年のビジネス本で一番のベストセラーとなった
『スタンフォードの自分を変える教室』にも
繰り返し書かれています。

人間の意志力というのは生まれつきのものではなく、
さっき書いた「ノミの天井」の話のように、
「体が勝手に思い込んでいるだけ」ということが、
ものすごく多いんですね。

なので、工夫して「いい思い込み」をさせたり、
「いい習慣がつく行動パターン・儀式」を考えるだけで、
人間の意志力は劇的に変わるのです。

たとえばイチローが打席に入る時にするポーズ、
あれも「今からバッティングに専念するぞ」
というメッセージを体に送っているわけです。

また、毎回試合の1時間前にユンケルを飲む、
というのもイチローのやっている儀式の一つです。

…というように自分の行動を科学的に操作することで、
心はいくらでも鍛えられるんですね。

ネットビジネスのモチベーション管理にも、
非常に応用しやすい考え方です。