速読本は多数ありますが、
この本は神田昌典さんが監訳をしているという点で、
「著者の知名度」が特に高いものの一つです。

(神田さんは監訳者で、元の著者は
 ポール・シーリィ博士という、加速学習の世界的権威です)

ここでは、この本に書かれている速読術のポイントと、
私の意見も交えて紹介させていただきます。

速読

■無意識で本を読む「フォトリーディング」

この本で提唱されているフォトリーディングは、
「無意識で本を読む」というもの。

私たちは普段「意識した状態」で本を読んでいますが、
それだと、意識の中に思い浮かぶ言葉の速度が限界です。

黙読している時も、私たちは「心の中で音読」していますが、
意識によって読むと、その速度でしか読めない、
ということです。

これに対し「無意識で読む」というのは、
たとえば町中を歩いていて、見ようともしていなかったのに、
看板の文字が飛び込んで来るような状態です。

「看板の文字が飛び込んで来る」は一瞬の出来事ですが、
「それが読書している間、ずっと続いている」
ような状態を目指すわけです。

それが「無意識の読書」です(私の解釈では)。


■意識して読むことが必要なケースもある

実は、この速読本は賛否両論あります。
そもそも「意識読みと無意識読みの境界線があるのか?」
ということです。

私自身、上のように説明はしてみたものの、
正直まだ無意識読みができたことはありません。

自分の得意分野だと、確かにそれに近い読み方をしています。
しかし、まったく初めての分野でそれができるわけがない、
という反対派の方の意見にも、賛同できます。


■アインシュタインを「速読」できる人はいない

そこら辺のビジネス書などなら、確かに速読も可能でしょう。
しかし、たとえばアインシュタインが発表した
当時の論文など、速読できる人は誰一人いなかったはずです。

同じ物理の世界の、トップレベルの学者たちでも、
何度も何度もゆっくり読み返し、吟味を続け、
ようやく「ああ、そういうことか」とわかるレベルでしょう。

これは極端な例ですが、このように「未知の分野」になると、
確かに速読は不可能なのです。必要もありません。

こういう「速読ができる分野」「必要な分野」と、
「そうでない分野」の違いは、
しっかり意識する必要があります。

この本に限った話ではないですが、
「速読は、万能ではない」のです。

(もちろん、万能でないだけで、
 役立つ部分では非常に役立つスキルです)


…というように賛否両論あるものの、
「知っているジャンルは無意識で読みやすい」
というのは確かです。

特にネットビジネスに関する知識が書かれた記事など、
「ほとんど飛ばし読みでOK」というものが多いので、
そういう場合は特に、フォトリーディングが役立つ
ことが多いでしょう。