『影響力の武器』は、アメリカの社会心理学者の
ロバート・チャルディーニによる、心理学の名著です。

この本のメッセージを一言でまとめると、
「人間の行動は紋切り型で自動的」ということ。
つまり「実は、自分の意思で行動しているわけではない」
ということです。

紋切り

その「紋切り」のパターンを知れば、
ネットビジネスなどのセールスにそれを応用することで、
大きな成果を上げられるわけですね。

個別のパターンはそれぞれの記事で紹介します。
ここでは、人間や動物の行動が「いかに紋切り型か」を示す、
『影響力の武器』が取り上げた事例を説明します。

紋切り

■ひな鳥の録音された音声を聞いて、人形にエサをあげる親鳥

たとえば親鳥がひな鳥を育てる風景。
あれは親鳥が「自分の子供」とはっきり認識しているようですが、
実はまったくしていないそうです。

彼ら(彼女ら)は「ひな鳥の声」に反応しているだけなんですね。
それを確かめるため、下のような実験が行われました。

・使うのは七面鳥
・天敵の「毛長イタチ」のぬいぐるみを用意する
・その近くにテープレコーダーを置く
・そのレコーダーから、録音したひな鳥の音声を流す

…という実験です。
どう考えても、「こんな状態で世話をするわけはないだろ」
と思うケースですが、親鳥は世話をするそうです。
完全に「音声だけ」に反応しているんですね。


テープレコーダー

■間違えて値上げしたらバカ売れしたトルコ石

この七面鳥のような「そんなバカな」という
行動パターンが、人間でも実に多く見られるのです。

たとえば、ある宝石店ではトルコ石を売っていましたが、
なかなか売れませんでした。

そこで半額に値下げしようとしたのですが、
間違えて「2倍の値段」をつけてしまいました。

すると、突然売れ始めたのです。
「高価な宝石だから、いいものに違いない」と、
裕福な観光客たちが勘違いしたんですね。

実際、私たちは宝石にしてもその他の商品にしても、
専門知識はほとんど持っていません。

トルコ石

なので「高価なもの=いいもの」と勘違いすることが、
非常に多いのです。
「値段が高い」ということは一見売るのに不利なようですが、
実は「だからこそ売れる」ということがあるんですね。

これはネットビジネスの高額塾などでも言えることです。
「高いからこそ、すごいノウハウを教えてくれるに違いない」
「他の人が簡単に入れない」
ということで価値が上がるのです。

もちろん、それにふさわしい価値を提供しなくてはダメですが、
とりあえず「高いのは売るのに不利とは限らない」
ということです。
これはぜひ意識してください。