■価格から決めるビジネス戦略
たとえばそれが「牛丼」だったとします。
「牛丼を1杯300円で出そう」と決めるわけです。
吉野家ですね。
音声も撮った↓ので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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牛丼なので、ご飯と牛肉、お茶碗は必須です。
後のものは、最悪なしでもかまいません。
(玉ねぎすらなくてもいいかも知れないのです)
で、「1杯というなら、当然このくらいのご飯はいる」
ということで、ご飯の量を想定します。
そして、「ご飯がこれだけなら、牛肉はこれくらい」
という量が決まります。
そして、お茶碗(というかどんぶりですね)
のサイズも決まります。
この時点で、牛丼1杯あたりの原価がある程度計算できます。
たとえばご飯、牛丼、どんぶり、それぞれで20円としましょう。
(どんぶりは単純計算できませんが、とりあえず仮です)
これでコストは今「60円」。
利益を50円出したいとしたら、
「あと190円までコストをかけていい」ということになります。
で、材料追加の第2案が出ます。
・玉ねぎ…20円
・紅しょうが…20円
・ごぼう…20円
という感じです。
これで残り130円までかけていい、ということになります。
「大事なものを忘れていないか?」と気づいた人は、
かなりビジネスの才覚があります。
そう、調理コストや店舗のコスト、人件費もあるのです。
超大雑把に「÷3」したとしましょう。
・調理コスト…1杯あたり50円
・店舗コスト…1杯あたり40円
・人件費…1杯あたり40円
…というラインに抑えたら、
この牛丼屋は成功するということです。
(具体的にいうと、毎月利益率17%を達成できるということです)
で、このように店舗や人件費の上限がもう決まっているので、
その予算の範囲内でお店のおしゃれさや、
スタッフのレベルを決めることになります。
そうすると「このレベルの内装がギリギリなので、これで決定」
「スタッフは日本人を雇えないので、外国人で決定」
という風になるわけです。
先に「店舗をこうしたい」とか、
「こういう人を雇いたい」というのがあるのはないのです。
先に「予算」があるのです。
その中でできる一番いいものを選ぶ、というのが鉄則なのです。
こうすれば、後は自動的に毎月17%の利益がでるのです。
そして、その地域の他店の売り上げなどから、
時点の売り上げを予想すれば、パーセントだけでなく
金額まで予想できるのです。
経営というのは、このように未来予想図を描くのですが、
そのためには「逆算」がもっとも重要なのです。
そして、商品の開発の場合はそれが
「値段から決める」ということなのです。
この鉄則を知らない人は非常に多いです。
だから「自営業は厳しい」などと言われるわけですが、
自営業が厳しいのでなく、単純に「逆のことをやっている」
ということなんですね。
(もちろん、リアル店舗の経営が厳しいことは重々承知していますし、
それに取り組まれている方はリスペクトしています。
あくまでここで言いたいのは、
「逆からやればもっと簡単になる」ということです)