これは「返報性の法則」として、
ネットビジネスの世界でもよく使われる用語です。

意味は「人間は、何かをしてもらったら、
何かお返しをしなければいけないと思う」というもの。

返報性


つまり、相手の「お返し」を引き出すために、
先にこちらから与えるのが効果的なわけです。

具体的にビジネスの世界でどのように活用されているか、
『影響力の武器』ではいろいろな実例が紹介されています。


■見知らぬ人々にクリスマス・カードを送った場合

たとえばある大学教授は、まったく知らない人々に、
クリスマス・カードを送る実験をしました。

返事はゼロかと思ったら、山のように届いたそうです。
受け取った人々は「誰か知らないけど、
労力を使って書いてくれた手紙を、
無視しては悪い」と思ったのでしょう。

手紙の返事だって、その人の時給と、
切手代やカード代は発生しているわけです。
ということは、この教授が生み出した経済効果は、
そのままビジネスにも応用できるということですね。

クリスマスカード

■アムウェイのマーケティングの技術

アムウェイは「マルチ商法」で有名で、
あまりいいイメージがないかも知れません。
ただ、マーケティングの技術は非常に優れていますし、
『影響力の武器』でもその部分に注目されています。

アムウェイでは、シャンプーや化粧品などを、
一定期間、お客さんの家に無料で置いていきます。
そして、お客さんはそれを自由に使うことができます。

で、お試し期間が過ぎたらアムウェイのスタッフさんが、
その家を訪問して「何か買いたいものはありますか?」
と注文を取るわけです。

そうすると、お客さんはすでに一部の化粧品を使っているので、
「無料で使ったのに、何も買わないのは悪いな」と思い、
ついつい不要な商品でも買ってしまうのです。

不要

■交渉で「自分が先に譲歩する」テクニック

たとえば少年が路上で、サーカスのチケットを500円で、
あなたに売りつけてきたとします。

それを断ると「じゃあ、飴を100円で買ってちょうだい」
と言ってきます。「譲歩」するわけです。

あなたは最初に断った時点で、
少年に対して「譲歩させてしまった」
という「負い目」があります。

本当は少年が勝手にやったことなので無視していいのですが、
こんなケースでも、相手に「何かしてもらった」と、
人間は感じてしまうんですね。

で、「100円ならいいか」と思い、
あめ玉なんて興味がないのに、ついつい買ってしまうのです。
特に日本人ではこういう方が多いですね。


…というのが返報性のルール(法則)です。
これはネットビジネスの世界でも特に応用しやすく、
日常生活でも役立つ心理学だと言えるでしょう。