「私達の望むものは」という曲は、日本の音楽史を
代表する名曲の一つです。

私たちの世代ではほとんど誰も知らないでしょうが、
今の60代くらいの人であれば、この曲にはかなり影響を
受けたはずです。

ここでは、この曲を哲学的に考察してみましょう。

望み

音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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■私達の望むものは、生きる苦しみなのだ

この曲は「私達の望むものは、生きる苦しみではなく、
生きる喜びなのだ」で始まりますが、最後では逆のことを
言い「望むものは、生きる苦しみ」となります。

矛盾していると思われるかも知れませんが、これは
真面目に人生やビジネスについて考えたことがある人で
あれば、意味がわかるでしょう。


■本当の喜びは、苦しみの向こうにしかない

たとえば「スラムダンク」を例にとると、彼らはあの
物語の中で何度も「本当の喜び」を味わっています。
しかし、それを味わえたのは「本当の苦しみ」を
誰よりも体験しているからです。

湘北高校はもともと弱小校でしたが、当時の弱い
チームメイトたちは、キャプテンの赤木に向かって
「お前とバスケやるの息苦しいよ」と言ってやめています。

実際その通りでしょう。ほとんどの高校生にとって、
赤木の武士のような思想は受け入れられるものでは
ありません。

彼らの高校生活は快適だったでしょう。ただし、
スラムダンクに登場したような本当の喜びは、まったく
味わえなかったはずです。可もなく不可もない、苦痛は
ないけど本当の喜びもない、そんな毎日だったはずです
(それはそれでいいと思いますが)。

生きる喜びを本当に味わいたかったら、同じ量
(もしかしたら数倍)の苦しみもセットで受け入れる
必要があるのです。

これはビジネスでも覚悟する必要があるんですね。

「ぐうたらしたいからお金持ちになりたい」という
思想では、いつまで経ってもお金持ちになることは
できませんし、なっても無感動な毎日がさらに
無感動になるだけです。

だからこそ、私達の望むものは「生きる喜びではなく、
生きる苦しみ」というこのフレーズを、強く意識する
べきだと思うのです。

(ちなみに、この曲はフォークソングですがかなり
過激です。

私が好きなフレーズでは「私達の望むものは、
あなたを殺すことではなく、あなたと生きることなのだ」
というものがあります。

これも最後で逆になるのが、昔の熱い若者の生きかたを
象徴しているようで、ノスタルジックに感じたりします。

その頃生まれてもいませんが。笑)