誰だって歳はとりたくないものです。私もとりたく
ありません(笑)。三十歳になって切実にそう思うように
なりました。

ここでは歳をとるということについて考えてみます。

年をとる

音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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■ブッダだって、歳をとりたくはなかった

四苦八苦という言葉の由来を知っているでしょうか。これは仏教で
説かれた「四苦」というものです。「人間の苦しみは4つある」と
いう意味ですね。どんな4つかというと「生老病死」です。

「生まれたこと、歳をとること、病気になること、死ぬこと」の
4つですね。

これを見てもわかるとおり、ブッダですら「歳をとること=苦痛」と
考えていたのです。ブッダだけではなく、歴代の世界の人々もそれを
実感していたからこそ、この言葉がずっと語り継がれてきたのです。


■歳をとりたくないのと、認めるのと、どちらが自然なのか

ブッダですら考えていたということは、人間はもう全員、歳を
とりたくない生き物だと言えます。

そう考えると歳をとりたくない方が自然な気がしますが、しかし動物は
違いますね。動物は私が今まで見てきた限り、歳をとることを何とも
思っていません。多分、自分が歳をとったことに気づかないまま
死んでいきます。

これを見ると動物の世界では、歳をとることを認める方が
自然ということになります。となると、「人間の存在自体が不自然」と
いうことになるのかも知れません。だからこそキリスト教では
「知恵の実=悪魔の実」としたのでしょう。

人間が知恵など持ってしまったから、こんなにいろいろ苦しみを
感じるようになった、というわけですね。


■苦しむのは、考えている証拠である

でも、これは逆に言うと、「苦しむということは、ものを考えている
ということ」なわけです。何も考えない動物になってしまえば、
苦しまなくて済むわけですから。なので、苦しむのもまたいいこと
なんですね。

同じような言葉で「傷つくのはやさしいからだ」という言葉もあります。
やさしい人でなければ、自分が誰かに迷惑をかけてしまった時に
傷ついたりすることはないんですね。むしろ人を傷つけて喜ぶ人も、
世の中にはいるくらいです。

なので、傷ついているということは、その人の中にやさしい感受性が
あるということの証明でもあるんですね。

精神的な話ですが、ビジネスというのは結局のところ顧客と
自分(会社)のコミュニケーションですから、こういう精神的な話は
何よりも大事なのです。

歳をとることという話題からやや脱線して着地してしまいましたが、
こうして私が脱線するのもまた、私が人間だからなのです。