哲学者のカントの名前は、哲学に興味がない人でも聞いたことが
あるでしょう。

ここではカントの哲学からビジネスのヒントを考えてみます。

哲学

音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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■自由とは、外部から与えられるものではない

カントは自由について多く論じた人です。カントの論じた
自由を私なりの言葉で説明すると、

「自由というのは、外部から与えられるものではない。
どんな状況でも受け入れる自分になった時、それを
自由というのだ」

というものです。少しややこしいかも知れませんが、
ネットビジネスでありがちな具体的な例を示して
解説しましょう。


■「ノマドになったら自由」ではない

ネットビジネスをやる人たちは、私もそうですがノマドが
多いですし「ノマドになりたい」と思ってこの世界に入る人も
たくさんいます。

それはいいのですが、「ノマドになったら自由だ」と
思っているうちは、カントの定義では自由ではないのです。

カントの考えでは「ノマドだろうとそうでなかろうと、
自分にプライドを持てる人間が自由だ」というわけです。

つまり、ノマドでない多少制約のある仕事だったとしても、
その制約の中に自由を見出したり、その仕事に対して
プライドを持って取り組んでいる人こそが自由だ、ということを
カントは言ったわけですね。

これはたとえば老子の言葉であれば「足るを知る」ということに
なります。「満足することを覚えろ」というものですね。

こういうと「恵まれてない奴隷みたいな環境にも甘んじろと
いうことか」と思われるかも知れませんが、そうではありません。

そこから抜けだそうとするのはいいのですが、その抜けだそうと
している状態の自分にもプライドを持つ、その時間も楽しむと
いうことです。

つまり「プロセスを楽しむ」と言ってもいいかも知れません。
「プロセスを楽しむ」というと、最近の自己啓発などで
生まれた言葉のようですが、内容自体は老子やカントなどが
何千年もかけて説いてきたこととまったく同じなんですね。

カントが説いたこういう「本当の自由」というのは、
ネットビジネスをやっていても最後に目指すべきものだと思います。

やはり、外部にある自由を求めている限り、一つ手に入れても
また次のものが欲しくなるだけで、永遠に満足することは
ないわけですから。