心理学の世界に「モラル・ライセンシング」という言葉が
あります。

これはビジネスで成功するためにも役立つ知識なので、
解説します。

甘い

音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
⇒ この記事の音声を聞く

■モラル・ライセンシングとは?

これは「いいことをしたら、その後自分に甘くなる」
というものです。

たとえば募金をした後、一時的にゴミの分別をサボって
しまったりということですね。

これは体感でいっているのではなく、実際に心理学の実験で
いろいろなことを行い、確かめられた現象です。

これは「いいことをした」時だけでなく「頑張った」後にも
起こります。

「今日は頑張ったから、明日はサボってもいいや」と
いうようなものですね。

身に覚えがある人も多いでしょう(笑)。しかし、これは
なぜ起こるのでしょうか?


■モラル・ライセンシングはなぜ起こる?

これは過去記事でも書いたかも知れませんが、「大脳新皮質を
休ませる」ためです。脳の領域は大別して2つです。

一つが「新皮質」、一つが「辺縁系」で、それぞれ理性と
本能を担当しています。

脳も臓器なので、使うと消耗します。なので休ませる必要が
あります。

「いいこと」や「努力」をすると、新皮質を使っているので、
それを休ませたくなるんですね。なので、その後では理性を
使わない本能的な行動に出てしまうというわけです。

ではそれを防ぐにはどうしたらいいのかというと、方法は
二通りあります。


■新皮質を鍛えるか、いい趣味を持つか

まずは新皮質を鍛えるというのが一番重要です。そもそも
新皮質が疲れなければこのモラル・ライセンシングは
起きないわけですから。

新皮質をどう鍛えるのかといったらこの部分を使うような
「理性的な行動」を日頃から意識してすることです。

内容は実は何でもいいのです。私は人も車もいない時は
赤信号を渡る人間ですが(笑)、ここであえて我慢すると
いうのも新皮質の訓練になります。

「何をしたか」ではなく「自分の行動をコントロールしたか」が
大事なので、コントロールさえしていれば、ぶっちゃけ何でも
いいのです。

もちろん、人に歓迎される行動をした方がその後の褒められる
などの効果もプラスされるので、できればそういう行動で
鍛えた方がいいですが。

とにかく、コントロールをしていれば大脳新皮質も発達していく
ということです。筋肉とまったく同じです。

そして「いい趣味を持つ」については、大脳新皮質を
休ませる時でも、いいことができればいいわけです。
たとえば運動、音楽などです。

これらは割と本能的な行動なので新皮質でなく辺縁系が中心と
なります。

なので、新皮質を休ませることもできるし、いい趣味
(人から歓迎される趣味)なので、人生のプラスにもなる、
ということです。

つまり、辺縁系を使うのが悪いのではなく、辺縁系を使ってやる
趣味に悪いものが多い、というだけの話なのです(凡人の場合は)。

それがいい趣味になれば、辺縁系を使うことは
むしろプラスなので、そういう趣味を持ちたいものですね。