スマートフォンやタブレットを見ているとよくわかりますが、
テクノロジーの進化は人間の仕事のやり方まで変えて
しまいます。これは芸術の世界でも同じだそうです。
私の知り合いのイラストレーターの話をします。
音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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■世界のどこにいてもイラストレーターの仕事ができるようになった
彼は「液晶タブレット」という道具を使って絵を描きます。
これは「画面に直接描く」というものです。
普通のタブレットはいわゆる「板タブレット」と呼ばれる
もので、画面につないだ「ただの板」の上に絵を
描くんですね。
これだとペンを走らせている部分と、実際に絵が現れる
画面が離れているので、かなり違和感があるそうです。
慣れれば平気だそうですが、それは油絵などの画材を
一つ修得するのと同じで、修得には時間がかかるそうです。
手書きで身につけたスキルを一から覚え直さないと
いけないようなもので、彼は絶対にそれは嫌だったそうです。
なので、彼は直接画面に描ける液晶タブレットを
使っているのですが、これには問題がありました。それは
「持ち運びができない」ということです。
液晶タブレットは仕組みが高度なため、どうしても
大きくなってしまい、板タブレットのように持ち運びが
できなかったんですね。
■2013年、初の持ち運び可能な液晶タブレットが登場する
これが2013年になって立て続けに2種類も、持ち運べる
液晶タブレットが登場したそうです。最初はパソコンに
接続するタイプのものが春に出て、秋には「パソコンに
接続すらしなくていい」という最新式のものが出たそうです。
わかりやすく言うと「絵を描く専門のアイパッド」の
ようなものです。
その秋に出た方のものがあると、完全にそれ一枚を
持ち歩くだけで、イラストレーターの仕事ができて
しまうんですね。
ワードやエクセルなどのソフトも起動でき、ネットにも
つながるので、これ一枚で世界を旅しながら日本の
イラストの仕事を引き受ける、ということまで出来て
しまうのです。
これによって彼の価値観は激変したといいます。
それまで当たり前ではなかった「世界中を回って暮らす」
というのが去年突然可能になったわけですね。
秋に出た方の高性能なものはまだ25万ほどするということで、
彼は前者の方を買っているのですが、これを持って
今度海外に移住します。
彼の価値観の変化の話を聞いて思ったのは、私たちの
価値観は「道具によって制限されている」部分がかなりある
ということです。
道具が変わったら、私たちが今当たり前だと思っていることが
当たり前でなくなり、これまでの人生のこだわり
(たとえば、日本に骨を埋めるという覚悟)とかが、
全部変わる可能性もあるのです。
なので、どれだけ歳をとっても最新のテクノロジーには
常についていきたいなと思います。
メカのためではなく、自分の価値観を硬直させないために、
ですね。