ドラッカーは経営者の仕事について
「人の弱みを無にして、強みを活かす」と定義していました。
この意味をリアルに考えてみたいと思います。

ドラッカー

音声も撮ったので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
⇒ この記事の音声を聞く

■まず、これをするとなぜ利益になるのか

これは言うまでもなく
「安いお金で仕入れて高い利益を上げる」
ことができるからです。

人材について「仕入れる」というと
もちろん語弊がありますが、
わかりやすく敢えてこう表現しました。

「安く仕入れて高く売る」は
子供でも知っているビジネスの基本ですが、
それを人材育成の面でやるのが
「人の弱みを活かす」ということなのです。

何の資格もない、学歴もない、
という普通の会社だったら低賃金でしか働けない
(というよりそもそも雇ってもらえない)ような人を集めて、
彼らのいいところを見つけてそれを伸ばせるような経営。

それができたら、その会社は
「安い賃金で最大の成果を上げてもらう」という
理想の経営ができるわけです。

そして、これが人間的にも
彼らを幸せにすることは言うまでもありません。


■「人の弱みを消す」経営は、すべての人を幸せにする

人間は誰でも弱みを持っています。
たとえば松下幸之助であれば
「学歴なし(中卒どころか小卒)、病弱」
という欠点がありました。

しかし彼はこの欠点があったおかげで、
全部自分でするのでなく人を頼る、
人は自分より頭がいいと思う、という利点を
身につけることができました。それもごく自然に。

同じように誰にでも欠点というのはあり、
それはそのままだと弱みになりますが、
うまく活かせば強みにもなるということです。

もちろんそのままでは強みにはなりませんが、
その人の別の長所を伸ばすことによって、
その弱みは強みに変わるわけです。

たとえばSMAPの中居くんの歌唱力もそうですよね。
あれだけだったらただの歌が下手なアイドルで
終わってしまいます。

しかし、彼には笑いのセンスがあり、
それを笑いに変えているから、
歌の下手さがむしろ武器になっているわけです。

中居くんは実力があるのでそういう
「弱みを強みにする」を自分でやっていますが、
これを自分でできる人はほとんどいません。

そのような人たちに対して、
経営者がその道筋を示してあげること。

「君の強みはこれで、それを伸ばすことによって弱みも消える」
ということを、ビジネスの中で示してあげること。
それができたら本当に理想の経営だと思います。

「ビジネスにする」というのが大事なのです。
「お世辞ではなく、社会の人たちが君の強みに、
 これだけの価値を感じているということだよ」
と示せるわけなので。

私の理想の経営はそれであり、
ドラッカーが言おうとしていたことも
そういうことなのだろうと解釈しています。