■アーロン・ラルストンが片腕を切り落とす時に思ったこと

アーロン・ラルストンという人物をご存知でしょうか。
一言でいうと「片腕を切断した冒険家」です。

彼はアメリカのグランドキャニオンのような場所
登山を楽しんでいたのですが、ある日岩が崩れて、
崖の下に落ちてしまいます


その時岩も一緒に落ちてきて、彼の右腕をはさんでしまったのです。
彼はいろんな手段で腕を抜こうとしたり、
岩を動かそうとしたりしたのですが、まったく動きません

もちろん崖の底なので助けは来ません。
水もなく、自分の尿を飲んで過ごしたのですが、
数日間その状態で、彼は死を覚悟しました

ビデオカメラを持っていたので、
彼はそれを使って、家族へのメッセージを録画しました

彼は生まれついての一匹狼で、日頃も一人で自由に行動することが多く、
この時も誰にも行き場所を告げずに来ていたのですが、
そんな彼が、死を覚悟した時に考えたのは、
ただ家族のことだけだったそうです。

…というと、「ああ、はいはい。家族ね。家族大事だよね」
という反応をする方もいるでしょう(笑)。

私も結構そういうことを思ってしまう方ですが、
ここで重要なのは、当のアーロン
そういうタイプの人だったということです。

「ああ、はいはい」とまで言うかはわかりませんが、
一匹狼だったのは確かですし、事実この状態になった時も彼は、
「今まで自分勝手に生きてきたバチが当たった」と、
とっさに思ったそうです。

でも、そういう人でも本物の死を間際にしたら
考えるのはただ家族のことだけだった、と言うんですね。

私が同じ状況になったら何を考えるかはわかりません。
アーロンだって、家族のことを考えるとは、
思ってなかった
のではないでしょうか。

アーロンは最後のビデオを録画した後、気を失い、
目が覚めた時、まだ生きていることに気がついて、
最後の力を振り絞って腕を切断しました

切断といっても、肉を切るだけではだめです。
肉を切った後、骨を折らないといけません。
しかも、その時あったのはおもちゃのような5センチ程度のナイフでした。

彼はそれで腕を切断し、片腕で崖の底から這い上がり、
大量の出血をしながら誰もいない荒野を歩いて、
偶然通りかかった家族連れに助けを求めました。

…という彼の壮絶な物語は映画にもなり、
アカデミー賞に多数の部門でノミネートされるなど大ヒットしたのですが、
要は私が言いたかったのは、

「自分が死の間際に考えることは何だろう」

ということです。
アーロンはアメリカでも有名な大企業の社員だったので、
普段は利益を出すこととか、自分の年収などのことも
考えまくっていたでしょう。

でも、死の間際、それらはすべてどうでもよくなっていたんですね。
誰にでも、そういう「死の間際でも残る何か」があると思うのですが、
それをスタート地点にして人生を設計していく、
というのもありなのかも知れません。