■割引現在価値とは?

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は、
タイトル通りの「さおだけ屋が潰れない理由」
以外にも、会計や経済学の用語がいろいろ登場しています。

経済学

音声も撮った↓ので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
⇒ この記事の音声を聞く

その中で重要なものの一つに「割引現在価値」があります。
割引現在価値の説明をするには、
まず具体例を出した方がいいでしょう。


■割引現在価値の具体例

たとえば「200年後に1億円やる」と言われて、
嬉しい人はいるでしょうか。いないですよね。

それよりも「今、10万円やる」の方が確実に嬉しいはずです。

ということは「200年後の1億円」の、
「現時点での価値」は「10万円未満」ということです。

これが「今、500円やる」だったら、
かなりの人数が「200年後の1億円」を選ぶはずです。

200年後
200年後とは言え、その寄付先を決めておけば、
遅ればせながら、自分が生きた証を何か残せるかも
知れないですし、そもそも500円なんて
別にどうでもいいですからね(笑)。

つまり、「200年後の1億円」の「割引現在価値」は、
「500円」ということです。

もちろん、実際のところはアンケートしてみないとわかりません。
ただ、そのアンケートで多くの人が答えた金額が、
この1億円の「割引現在価値」ということです。

割引現在価値
■割引現在価値を意識すると、どう役立つのか?

一番わかりやすい役立て方は、
「人間は、すぐに手に入るものに興味を持つ」ということです。

つまり、たとえばあなたが何か商品を販売する時、
「入荷は1か月後です」というと、
買おうと思っていた人も買わないということです。

また、あなたが人を雇って報酬を払う場合も、
日払いや週払いなど「支払いのスパンが短い」方が、
少なくとも金銭的には、みんなやる気を出してくれる、
ということです。

その証拠に、風俗業など「人がやりたくない仕事」は、
全部お給料が日払いですよね。
これも「割引現在価値」が生きている身近な例です。

日払い
■ネットビジネスの場合はどう役立つか?

これは…いわゆる「情報弱者をだます」系の方々が
よくやっていることですが、
「すぐに稼げる」という釣り文句で、
使われることが多いですね。(^_^;)

こういうのは、割引現在価値の正しくない使い方だと
個人的には思います。

割引現在価値は人をだますためのものではなく、
「安いものでも、早く届けることで、
 より大きな満足を感じてもらえる」という
プラス方向に考えるべきです。

こういう風に発想を切り替えると、
一見小手先の小細工のように見えることも、
血の通った人間的な行動に変わる、と言えるでしょう。