■アドラー心理学の「目的論」とは何か?
これは具体例をあげるとわかりやすいです。
たとえば今ここに「貧乏だから女性と付き合えない」
という男性がいたとします。
音声も撮った↓ので、聞きながらだと、わかりやすいと思います。
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アドラー心理学の目的論では、この男性をこう見ます。
「この男性は、本当は女性と付き合いたくない」
「だから、言い訳としてお金がないことを持ち出す」
「この男性が本当にしたいことは、
『貧乏を理由に、女性と付き合うのを避けること』だ」
同じ立場の男性が読んだらやや衝撃かも知れませんが、
その人がやりたいことは「女性と付き合わないこと」なのです。
「貧乏を理由に、女性と付き合わない自分」が
その人は好きなのです。
「そんな無茶苦茶な」と思われるかも知れませんが、
これがアドラー心理学の「目的論」です。
■反対の考え方「原因論」とは?
目的論の反対が「原因論」で、
これはフロイトなどが得意とするものです。
「あなたは幼少期に虐待を受けていた」
「だから、今人と交わることができないのです」
みたいな考え方ですね。
実際のカウンセリングでも、原因論のカウンセラーたちは、
こういうアドバイスをされているようです。
(それが必要な患者さんが相手なら、
もちろん、それで全然いいと思いますが)
しかし「こんなことを患者に伝えて、何になる」
というのがアドラー心理学なんですね。
「過去にこういうことがありました。
だから、あなたはこういう人間です」と言ったところで、
そんな心理学が、社会に何をもたらすのか、
とアドラーは考えたわけですね。
■目的論を意識すると、行動が変わる
たとえば先ほどの「貧乏だから女性と付き合えない」
という男性の場合、他の魅力が何もないなら、
確かにすぐに付き合うのは難しいかも知れません。
しかし、貧乏自体は必ずしも男女関係のマイナスではないのです。
「貧乏な男性に食べさせてあげる」という
シチュエーションを夢見ている年上の女性だって
いるかも知れません。
つまり「貧乏」というのは確かに欠点になることの方が多いけど、
もしかしたらプラスになるかも知れないのです。
その「もしかしたら」をまったく考えず、
最初から勝負を投げている。
ということは、この男性が本当にやりたいことは、
「貧乏を理由に勝負を投げること」というのは、
確かに的を射た指摘です。
ネットビジネスでも同じで、いろいろ行動できない理由を
あげる方は多いですが、その方が本当にやりたいことは、
「それを理由に逃げること」なのかも知れません。
責めるわけではなく、逆にそう考えると、
「望みさえすれば、自分の体が自動的に道を切り開いてくれる」
という自信になるのではないでしょうか。